霊渠

概況

霊渠（れいきょ）は、中国広西チワン族自治区桂林市興安県にある、秦の始皇帝時代（紀元前214年頃）に建設された世界最古の運河の一つです。長江水系の湘江と珠江水系の漓江を結ぶ全長約37キロの水利工程で、「北に長城、南に霊渠」と称されるほど歴史的価値が高く、2018年には世界かんがい施設遺産に登録されました。釘やセメントを使わず石と木の組み手技術で造られた大小天平（堤防）や銛嘴（分水堤）など、古代の高度な水利技術が現存し、現在も灌漑や観光として活用されています。

見所

銛嘴と大小天平: 湘江の水を南北の渠に分ける核心的な構造で、水量の70%を湘江に戻す大天平と30%を漓江へ流す小天平が「人」の字型に配置され、水位調節の巧みさが見どころです。
南渠の陡門（とうもん）: 33キロにわたる南渠には32の陡門（閘門）があり、船の通行時に水位を段階的に調整する「世界最古の船闸」として知られます。
四賢祠と美齢橋: 霊渠建設に貢献した4人の歴史人物を祀る四賢祠や、宋美齢に由来する美齢橋は、庭園風の景観と相まって風情ある散策が楽しめます。
水街エリア: 霊渠沿いに広がる仿古建築のエリアで、地元住民の日常生活や洗濯風景など、昔ながらの暮らしを身近に感じられます。

入場料
基本入場料は45元～60元で、学生や高齢者は割引（22元～）となります。古い船でのクルーズやガイド付きツアーは別途80元～120元が目安です。灵渠(líng qú)ハイシーズン（5月～10月）：7:30～19:00
ローシーズン（11月～4月）：8:00～18:00
※季節により変動する場合があります。住所
広西チワン族自治区桂林市興安県双霊路

公共交通機関
桂林長距離バスステーションから興安行きのバス（30分間隔、料金18元）に乗車し、興安県城でタクシーや三輪車に乗り換えてアクセスします。
桂林市区からレンタカーやタクシーを利用する場合は、「霊渠景区」を目的地に設定し、県道を経由して約1時間半が目安です。大小天平の石畳は苔で滑りやすいため、歩きやすい靴を着用し、増水時は渡らないようご注意ください。
陡門や銛嘴などの遺構は脆弱な部分があるため、柵のないエリアには立ち入らないようにしましょう。
夏季は日差しが強いため、帽子や水分補給を忘れずに。現地のガイドを利用すると水利技術の仕組みを深く理解できます。