大散関

況：
大散関（別名：散関）は、中国陝西省宝鶏市の南郊、秦嶺山脈の北麓に位置する中国古代の重要な関所です。その歴史は古く、周代の散国に由来するとも言われ、古来より「川陝の咽喉」と称される交通と軍事の要衝でした。秦嶺の険しい山間に築かれたこの関は、「一夫当関、万夫も開くこと能わず」と形容されるほどの険しさで知られ、歴史上70回以上の戦いの舞台となった兵家必争の地です。楚漢戦争時の韓信による「明修棧道、暗度陳倉」、三国時代の曹操の遠征や諸葛亮の北伐、そして南宋時代には金軍と激戦を繰り広げたなど、数々の歴史的出来事を見守ってきました。詩人・陸遊がその詩「書憤」に詠んだ「鉄馬秋風大散関」の句は特に有名で、この地のイメージを決定づけています。現在は国指定のAAA級観光地として整備され、歴史遺跡と雄大な自然景観を楽しむことができます。

見所：
古戦場遺跡：かつての防御施設や練兵場の跡が残り、当時の緊迫した戦いの様子を偲ばせます。
陸遊文化景観：「鉄馬秋風大散関」の詩碑や陸遊の像が設置され、文学と歴史が交差する空間です。
関所遺跡：清代に再建された関門の基壇など、関所の核心部分を見学できます。
烽火台：頂上からは、眼下に川陝公路の「幾」の字型にうねる道と、秦嶺の連なる山々を一望できます。
散関博物館：関所の歴史や出土品を紹介する展示があります。
老子廟：伝説では老子がこの地で関令の尹喜に『道徳経』を授けたとされ、それを記念する廟です。
呉公祠：南宋の抗金名将、呉玠・呉璘兄弟を祀る祠堂です。
秦嶺界碑：関所の近くには、南北の気候と文化を分ける秦嶺の境界を示す民国時代の石碑が立っています。

入場料：
大人：42元（※情報源により40元や50元との記載もあり）
学生・子供・高齢者などは証明書提示で割引または無料となる場合があります。大散关(dà sàn guān)通年：8:30 ～ 18:00
住所：
陝西省宝鶏市南郊、川陝公路19.5キロ付近の清姜河岸（または宝鶏市西南26キロの大散嶺上）
公共交通機関：
宝鶏市のバスターミナルから、鳳県または漢中行きの長距離バスに乗車し、「大散関」停留所で下車します。車内で運転手に行き先を伝えると良いでしょう。見学には山道を歩くことが含まれますので、歩きやすい運動靴やトレッキングシューズの着用をお勧めします。
関所の石碑や遺跡は貴重な文化財です。触れたり、登ったりしないようご注意ください。
一部の道は急勾配で狭い場合があります。足元に十分注意して、無理のないペースでお楽しみください。
バスでのアクセスの場合、帰りの便の時間を事前に確認しておくとスムーズです。
身分証明書（学生証、高齢者証、軍人証など）をお持ちの方は、入場券購入時に割引対象となる場合がありますので、ご提示ください。