カンツ(甘孜）寺

概況：
カンツ寺（甘孜寺）は、四川省甘孜チベット族自治州甘孜県の県城北部にある人字形の山坡に位置する、蔵伝仏教ゲルク派（黄教）の大寺院です。その歴史は古く、1662年に建立され、約350年以上の伝統を持ちます。全称は「甘孜扎西萝卜楞寺」で、チベット語で「潔白で美しい吉祥興盛珍宝寺」を意味し、かつて寺の近くに白い石があったことに由来すると言われています。建築様式はチベット様式と漢様式が見事に融合しており、広大な敷地に大経堂を中心に、多くの小経堂や約550棟もの僧坊（扎倉）が整然と並ぶ壮観な景観を作り出しています。また、この寺院は康巴（カム）地方で有名な「ホル（霍尔）十三寺」の筆頭格としても知られ、歴史的に地元の土司（領主）と深い政教関係を築いてきました。

見所：
寺院の前の広場や境内からは、甘孜県城の全景と、それを取り囲む山々や蜿蜒と流れる川の壮大な景色を一望できます。
メインの大殿は四層構造で、一層は大経堂、二層は護法神殿、三層は強巴仏殿（弥勒菩薩）、四層にはインドから請来した覚臥仁泊切が祀られています。内部は壁画や彫刻で彩られ、金碧輝煌とした厳かな雰囲気です。
護法神殿には、地元のチベット族がこれ以上の殺生をしない決意を込めて奉納したという、多くの蔵刀や旧式の火銃が収められています。
僧侶の住居である僧坊は山の斜面に密集して建てられ、下の家の屋根が上の家の庭になるという独特の景観を形成しており、遠くから見ると非常に印象的です。

入場料：
無料で見学できます。甘孜寺(gān zī sì)ガン ズー スーGanzisi8:00～17:00 で開放されています。ただし、金曜日は終日閉まっている場合があるため注意が必要です。季節による明確なハイシーズンとローシーズンの時間区分は設けられていないようです。住所：
四川省甘孜蔵族自治州甘孜県城の北側の山坡上（甘孜鎮）
公共交通機関：
成都の新南門駅または茶店子駅から、甘孜県行きの長距離バスを利用します。甘孜県城に到着後、寺院まではタクシーを利用するのが一般的で、県城から約15元程度です。寺院の入口近くまで車で行くことができます。寺院はあくまでも信仰と修行の場です。仏像や経典、法具などにはむやみに触れず、静かに参観するよう心がけましょう。また、多くの情報源で、殿内での写真撮影やビデオ録画は禁止されているとされています。撮影する場合は、必ず許可を得るか、外部の景観に留めましょう。 甘孜県は標高が約3500メートルと高いです。到着後は激しい運動を避け、体を慣らすようにしましょう。紫外線も強いので、帽子やサングラス、日焼け止めなどの対策が必要です。 寺院周辺の道路は未舗装であったり、状況が良くない場合があります。歩行や運転の際は足元や車の状態に十分注意してください。 地元の文化と信仰を尊重し、節度ある行動を取ることが何よりも大切です。ゴミは必ず各自でお持ち帰りください。