孟廟，孟府

概況：
孟廟（もうびょう）と孟府（もうふ）は、中国山東省済寧市鄒城市（すうじょうし）の中心部に位置する、戦国時代の偉大な思想家であり儒家の亜聖と称される孟子を祀り、その嫡流子孫が居住した歴史的建築群です。孟廟は「亜聖廟」とも呼ばれ、北宋の景祐4年（1037年）に孔子の45代目の孫である孔道輔によって、孟子の墓所である四基山の傍らに創建されました。その後、参拝の不便さから北宋の宣和3年（1121年）に現在地に移転・再建され、金、元、明、清の各時代を通じて拡張と修復が重ねられてきました。現在の建物は清の康熙年間の再建後の姿を留めており、南北458.5メートル、東西95メートル、総面積約4.36万平方メートルの広大な敷地に、五進院落（五つの区画）と64の殿宇が配置される、中国で最も保存状態の良い孟子祭祀建築の一つです。その西隣に建つ孟府は、孟子の直系子孫が代々居住した邸宅兼役所で、北宋末期の宣和年間（1121年頃）に現在地に移築され、明代に規模が整えられました。前部が官衙、中部が内宅、後部が庭園からなる七進院落の布局を持ち、148間の部屋を有する、衙署と住宅が一体となった現存する数少ない古建築群として貴重です。両者は一つの通しチケットで観光でき、「孔孟の道」を実感できる儒家文化の核心的な聖地として、国内外から多くの観光客や修学旅行生を集めています。

見所：
孟廟の中心「亜聖殿（あせいでん）」：孟廟の主体建築であり、祭祀の中心となる殿宇です。清代の建築で、重層の入母屋造り、黄色い瑠璃瓦が輝く壮麗な姿が特徴です。殿内には孟子の塑像が祀られ、清朝の雍正帝直筆「守先待後」や乾隆帝直筆「道闡尼山」の扁額が掲げられ、その歴史的威厳を感じさせます。
母性愛の象徴「孟母殿（もうぼでん）」：孟子の母・孟母（もうぼ）を祀る殿堂です。「孟母三遷」「断機の教え」など、子育ての模範として今も語り継がれる孟母の故事に触れ、母の偉大さと教育の重要性を学ぶことができます。
千年の時を刻む「古樹と碑林」：孟廟境内には宋、元時代に植えられたと言われる側柏やイチョウなどの古木が300本以上も茂り、厳かな雰囲気を作り出しています。また、歴代の皇帝や文人による記念碑が350余りも立ち並ぶ「孟廟碑林」は書道愛好家必見のスポットで、中でも「天震井」にまつわる清代の碑文は興味深いです。
孟子の子孫の生活空間「孟府大堂（もうふ だいどう）」と「賜書楼（ししょろう）」：孟府の中心的な建築である大堂は、世襲された翰林院五経博士が詔勅を拝受したり、族規を宣布したりした公的な空間です。その奥にある賜書楼は明代の建築で、皇帝から下賜された書籍や家譜を保管する重要な場所でした。
貴重な漢代石刻「萊子侯刻石（らいしこうこくせき）」：孟府内に保管されている前漢の天鳳3年（紀元16年）の石刻で、篆書から隷書への過渡期的な書体として、中国書道史上極めて貴重な文物とされています。

入場料：
孟廟と孟府は共通入場券（聯票）となっています。
大人：35元。
学生（全日制、学生証提示）、身長1.4メートル以上18歳未満の未成年：半額優待（17.5元）。
無料対象：60歳（または65歳）以上の高齢者（身分証提示）、現役軍人・退役軍人・消防士、障害者、教師（資格証提示）、孟氏子孫及びその配偶者、邹城市民（身分証提示、但し大型連休時は除く）、その他特定の優待対象者。詳細は公式発表をご確認ください。孟庙，孟府(mèng miào mèng fǔ)通年営業していますが、季節により閉門時間が異なります。
ハイシーズン（4月～10月）：8:20 ～ 18:00 （最終入場は閉門の30分～1時間前を目安に）。
ローシーズン（11月～3月）：8:20 ～ 17:30 （最終入場は閉門の30分前を目安に）。
※入場受付は閉園時間の約30分～50分前（例：16:50または17:20）に終了する場合がありますので、余裕を持ってお越しください。住所：
山東省済寧市鄒城市亜聖路1498号（孟廟孟府景区）。
公共交通機関：
鄒城市内からは、2番、16番、K2路、K3路などの路線バスに乗車し、「孟廟孟府」バス停で下車します。
高速鉄道をご利用の場合は「鄒城東駅」で下車し、タクシーで約10分です。
自家用車の場合は、ナビゲーションで「孟府景区」を目的地に設定するのが便利です。孟廟前広場の駐車場（第一駐車場）などが利用できます（有料、1回10元程度）。孟廟・孟府は全国重点文物保護単位に指定されている貴重な文化財です。建物や石碑、古木に触れたり、傷つけたりすることのないよう、マナーを守って静かに見学しましょう。
境内では線香や紙銭などの燃焼物、ライター、酒類、刃物などの持込は禁止されています。入口での保安検査にご協力ください。
敷地面積が広く、石畳や階段も多いです。歩きやすい靴での訪問をお勧めします。また、夏季は日差しが強いので、帽子や日焼け止めの準備があると良いでしょう。
歴史的背景を深く理解するために、入口で音声ガイドを借りるか、または各スポットに設置されたQRコードをスマートフォンで読み取れば、無料で解説を聴くことができます。
大型連休（春節、労働節、国慶節など）や週末は比較的混雑します。落ち着いて鑑賞したい方は、平日の午前中など比較的空いている時間帯の訪問がお勧めです。