嘉祥武梁祠

概況：
嘉祥武梁祠（正式名称：武氏墓群石刻博物館または武氏祠）は、山東省済寧市嘉祥県紙坊鎮武翟山村に位置する、東漢（後漢）時代の武氏家族墓地の石造祠堂群です。その歴史は古く、東漢の桓帝・建和元年（西暦147年）に創建が始まり、数十年をかけて完成したと考えられています。宋代以降、洪水による土砂堆積で長らく地下に埋もれていましたが、清の乾隆51年（1786年）に金石学者の黄易によって再発見・保護されました。1961年には、その類稀なる歴史的・藝術的価値から、第一陣の全国重点文物保護単位に指定されています。現存する石闕（せきけつ、墓道の門柱）と石獅子一対、漢碑二基、そして四組四十余石に及ぶ祠堂の石刻構材は、中国で現存する中で規模が最大かつ保存状態が最も完璧な漢画像石群を構成しており、その内容は神話伝説、歴史物語、現実生活など多岐にわたり、東漢社会の様子を生き生きと伝える「石に刻まれた史記」とも称されます。特に「武梁祠」は、祠主が隠居儒者の武梁であると確認できる唯一の祠堂で、その石刻には現存最古の「三皇五帝」の図像が含まれており、中華文明の源流を視覚的に伝える貴重な資料として、国内外の研究者から高い評価を受けています。

見所：
中国で現存最古の紀年銘をもつ石獅子と、ほぼ完全な形で残る石闕。石獅子は「中華第一獅」と讃えられ、石闕の表面には建和元年（147年）の建立銘文が刻まれ、当時の工匠の名も伝えています。これらは墓域の神道（参道）を飾った施設です。
「武梁祠」を中心とする、四十余石からなる圧倒的な漢画像石群。減地平面線刻（画像部分を周囲から浅く彫り下げ、線刻で細部を表現する技法）という精緻な技法で、伏羲・女媧などの神話、荊軻刺秦王や孔子見老子などの歴史故事、そして車馬出行や宴飲・庖厨図などの当時の生活風景がびっしりと刻まれています。特に「孔子見老子」の図は、儒教と道教の始祖の邂逅を描いた名品です。
現存最古の「三皇五帝」帝王図像シリーズ。黄帝や禹など伝説の帝王たちの姿が榜題（説明文）と共に刻まれており、後世の帝王像の原型となりました。例えば、陝西省の黄帝陵の黄帝像も、この武梁祠の図像を藍本としています。
「荊軻刺秦王」をはじめとする、劇的な瞬間を捉えた歴史物語の描写。柱に刺さった匕首の穂先がまだ揺れている様子など、緊迫した一瞬を巧みに表現しており、魯迅もその雄大な気魄を高く評価していました。
博物館内には、これらの貴重な石刻のほか、武斑碑や武栄碑などの漢碑も収蔵・展示されており、書道史上も重要な資料となっています。

入場料：
大人：35元。
学生：学生証提示で17.5元（半額）。
その他：身長1.4メートル以下の児童、60歳以上の高齢者、現役軍人、障害者などは、証明書提示により無料または割引となる場合があります。詳細は現地の案内でご確認ください。嘉祥武梁祠(jiā xiáng wǔ liáng)ハイシーズン（4月～10月）：8:00 〜 18:00。
ローシーズン（11月～3月）：8:30 〜 17:00。
※年間を通じて8:00-18:00で営業している情報もありますが、季節により変動する可能性がありますので、訪問前の確認をお勧めします。住所：
山東省 済寧市 嘉祥県 紙坊鎮 武翟山村北
公共交通機関：
嘉祥県街地から「嘉金城郷バス」（嘉祥～金郷線）に乗車し、「武翟山」バス停で下車します。
済寧市街地からお越しの場合は、まず長距離バスやタクシーで嘉祥県街地へ向かい、上記のバスに乗り換える方法があります。
自家用車の場合は、済寧市街地からG1511日蘭高速道路を利用し、「嘉祥」インターチェンジで降り、県道を南へ向かい、標識に従って進みます。博物館には駐車場があります。館内の石刻は1800年以上前の国宝級文化財です。絶対に触れたり、傷つけたりしないよう、厳重に注意してください。フラッシュを使用した撮影も控えましょう。
静かな環境で文化財を鑑賞する場です。他の見学者のご迷惑にならないよう、声を控えめにし、マナーを守ってご見学ください。
展示室や通路には段差がある場合があります。歩行には十分ご注意ください。
博物館は郊外に位置します。周辺に飲食店が少ない可能性があるため、飲料水などをあらかじめ準備しておくと良いでしょう。
最新の開館時間や入場料、特別なイベント情報については、訪問前に公式の情報源で確認されることをお勧めします。2025年には大規模な改修工事が完了し、リニューアルオープンした経緯もあります。