華厳寺

概況：
華厳寺（けごんじ）は、中国山西省大同市平城区の古城内南西部に位置する、中国に現存する年代が古く、保存状態が比較的完璧な遼・金時代の寺院建築群の一つです。その歴史は古く、遼の重熙7年（1038年）に創建され、仏教経典『華厳経』に基づき、「慈悲の華は必ず荘厳の果を結ぶ」という大乗教義から名付けられました。寺院は東西方向を軸として配置され、山門、普光明殿、大雄宝殿、薄伽教蔵殿、華厳宝塔など30余りの単体建築が南北2本の主軸線上に並び、布局が厳謹で規模が雄大です。総面積は約66,000平方メートルに及び、全体が上寺と下寺に分かれていますが、現在は一つの景区として管理されています。上寺の中心は金代に再建された大雄宝殿、下寺の中心は遼代建築の薄伽教蔵殿であり、これら二つの主殿をはじめ、建築、塑像、壁画、壁蔵、藻井など、いずれも遼金芸術の精華とされ、中国建築史、宗教史、芸術史の研究において極めて重要な地位を占めています。1961年には第一陣全国重点文物保護単位に指定され、2014年には国家AAAA級観光地にも認定されました。

見所：
上寺の核心である「大雄宝殿」は必見です。現存する遼金時期最大級の仏殿の一つであり、面積は1559平方メートルに達します。殿内は「減柱法」が用いられ、空間が広々としています。明代の五方仏や二十諸天の塑像、清代に描かれた総面積876平方メートルに及ぶ壁画などが保存されています。殿外の正脊にある高さ4.5メートルの琉璃鴟吻も圧巻で、北側のものは金代の原物です。
下寺の「薄伽教蔵殿」は、遼の重熙7年（1038年）建立の蔵経殿で、中国に現存する遼代殿堂建築の優れた遺構です。殿内には31体の遼代塑像が保存されており、中でも「合掌露歯菩薩」像はその優美で生き生きとした表情から「東方のビーナス」と称賛されています。
薄伽教蔵殿内に設けられた「天宮楼閣」と「壁蔵」は、建築学者の梁思成から「海内の孤品」と称された精巧な木造建築模型です。38間ある重層楼閣式の壁蔵は、経典を収蔵する機能と卓越した美的価値を兼ね備えています。
2008年の復元整備後に建立された「華厳宝塔」は、純銅で造られた地宮（地下宮殿）が特徴です。仏舎利や千体仏が奉安されており、伝統と現代技術が融合した建築です。
その他、寺院の東向きという契丹民族独特の配置や、大雄宝殿外壁に嵌め込まれた朱熹筆の『易経』碑なども見逃せません。

入場料：
大人：65元です。
各種割引制度が適用されます：
身長1.2メートル（含）以下の児童、または6歳（含）以下の児童は無料です。
6歳（不含）から18歳（含）までの未成年者、全日制大学本科及び以下の学生（学生証提示）、60歳（含）以上の高齢者は、証明書提示で半額（32.5元）となります。
現役軍人、退役軍人、障害者（重度障害者は介護者1名も無料）などは、証明書提示で無料となります。
※最新の詳細な優待政策は、現地の窓口または公式発表でご確認ください。华严寺(huá yán sì)季節により開園時間が異なります。
ハイシーズン（夏季）：08:30 〜 18:00（最終入場は17:30頃）。
ローシーズン（冬季）：08:30 〜 17:30（最終入場は17:00頃）。
※情報源により、ハイシーズンを5-10月、ローシーズンを11-4月とする記載や、または通年で8:30-17:30とする記載もあります。訪問前の確認をお勧めします。住所：
山西省 大同市 平城区 下寺坡街459号。
公共交通機関：
大同市街地からは、バス4路、6路、17路、23路、27路、35路、38路などに乗車し、「華厳寺」または「四牌楼」バス停で下車します。
大同駅（大同站）からは、タクシーで約15分程度です。
大同雲岡空港からは、空港バスで市街地へ向かい、上記のバスに乗り換えるか、タクシーを利用します。寺院内は静粛な宗教施設かつ国宝級の文化財保護区域です。大声での会話や走り回ることは控え、他の参拝者や観光客のご迷惑にならないようお願いします。
塑像、壁画、建築物など、すべての文化財には手を触れたり、フラッシュを使って写真を撮影したりしないでください。指定された見学通路を守りましょう。
華厳宝塔や大雄宝殿などの建築物には階段や段差があります。履き慣れた歩きやすい靴での見学をお勧めします。 境内は広いです。ゆっくり見学すると2時間以上かかりますので、時間に余裕を持って計画し、適宜休憩を取りながら回りましょう。
ゴミは各自でお持ち帰りいただくか、指定のゴミ箱に捨て、清潔な環境を保ちましょう。 特に夏季は日差しが強い場合があります。
帽子や日焼け止め、十分な飲料水を準備してお出かけください。冬季は大同市は非常に寒くなりますので、防寒対策を万全に。