代県楊家祠堂

概況：
代県楊家祠堂（正式名称：楊忠武祠）は、山西省忻州市代県の鹿蹄澗村に位置する、北宋の忠将・楊業（楊令公）とその一族を祀る祠堂です。元の至元16年（1279年）に楊業の子孫によって創建され、その後、明・清時代を通じて修復・拡張を重ねてきました。楊業は戦死後に宋の朝廷から「忠武」の諡号を贈られたことから、祠堂は「楊忠武祠」と名付けられました。敷地面積は約5,580平方メートルで、中国国内に現存する最も完全な形で保存された楊家将関連の祠宇として知られています。ここは単なる記念建造物ではなく、楊業の子孫が実際に居住し、現在も約3,000人の楊家の子孫が暮らす「生きた祠堂」であり、一族の歴史と「忠義」の精神を今に伝える貴重な場所です。

見所：
祠堂のシンボルである「鹿蹄石」は、高さ約2メートルで、上に傷ついた鹿の蹄の跡が刻まれており、村の名前の由来となった伝説的な宝物です。伝説によれば、楊業の子孫がこの地で鹿を追いかけ、その鹿が地中に消えた場所からこの石が発見され、縁起の良い地として祠堂が建てられたとされています。
正殿には、楊業とその妻・佘太君を中心に、八人の息子たちを含む合計22体の彩色塑像が祀られており、その姿は凛々しく、往時の忠烈ぶりを彷彿とさせます。
祠堂の門や殿内には、「奕世将略」「一堂忠義」「忠武祠」など、歴代の皇帝や高官から贈られた多くの扁額が掲げられ、楊家一門の功績を称えています。
「楊氏宗卷」と呼ばれる、全長8.1メートルにも及ぶ宋代の絹製の家系図と人物画は、900年以上の歴史を持つ貴重な文化財で、祠堂の至宝とされています。
祠堂の前には「頌徳楼」という三間の楼閣（祭壇兼戲台）が建ち、その前には樹齢数百年の古い槐の木が聳えています。

入場料：20元代县杨家祠堂(wú yīng wén dài xiàn yáng jiā táng)ハイシーズン（4月～10月）：8:00〜18:00
ローシーズン（11月～3月）：8:00〜17:30公共交通機関：代県の県城から繁峙県方面行きのバスに乗車し、「鹿蹄澗村」で下車します。または、代県からタクシーを利用することも可能です。108号国道から村へ向かう道が分岐していますので、案内標識に従って進みます。祠堂は楊家の子孫が現在も管理・祭祀を行っている生きた宗教施設です。参観の際は静粛を保ち、敬意を払いましょう。
「鹿蹄石」や「楊氏宗卷」などの貴重な文化財は、大切に扱い、触れたり、フラッシュを使用しての撮影は控えてください。
旧暦の3月9日など、特定の祭日には多くの子孫が集まり、賑やかになることがあります。静かな環境を希望される方は、日程を調整されると良いでしょう。
敷地内は石畳や階段がありますので、歩きやすい靴での来訪をお勧めします。
地元では、悲劇的な結末を迎える『金砂灘の戦い』の劇は、縁起が悪いとして上演を避ける習慣があると言われています。地元の文化的な習慣にも配慮しましょう。