なぜ端午節には「端午安康」と言うのか?

時間:2025-05-31 09:52作者:z閲覧数:

端午節1

中国の祝日に関する挨拶といえば、「新年快楽(明けましておめでとう)」、「中秋快楽(中秋おめでとう)」など、「快楽=ハッピー」という言葉をよく使いますよね。ところが、端午節(端午の節句)では「端午快楽」と言う代わりに、「端午安康(端午の安寧を願います)」という表現が多く用いられます。では、なぜこのような違いがあるのでしょうか? その理由は、端午節の由来と深く関係しています。 


 端午節は、古代中国の詩人・屈原(くつげん)を偲ぶ日として知られています。屈原は国を愛するあまり、悲しみの中で汨羅江(べきらこう)に身を投げたと伝えられています。端午節はその命日にあたり、人々はちまきを川に投げ入れて魚から遺体を守り、龍舟競争で悪霊を追い払いました。 つまり、端午節は「祈り」と「鎮魂」の意味が強い日なのです。そのため、喜びを表す「快楽」という言葉よりも、「無病息災」や「平安無事」を願う「安康(安らかで健康であること)」という表現がよりふさわしいと考えられるようになりました。

屈原

また、古来より端午節は「悪月悪日(病や災いが起こりやすい時期)」ともされており、薬草や香袋、菖蒲を用いて厄払いをする習慣もあります。

端午安康

このような背景から、人々はこの日を「楽しむ」だけでなく、「無事であること」を特に大切にしてきたのです。 だからこそ、「端午安康」という言葉には、単なる挨拶以上に、「どうか健康で、安らかにこの季節を過ごしてくださいね」という深い想いが込められているのです。


季節の変わり目、どうぞ皆さまもお体に気をつけて、
端午安康(どうかご健康で穏やかな端午をお過ごしください)