敏竹林寺
チベット中部に現存する最大の紅教(寧瑪派)の寺廟
概況:
敏竹林寺(ミンジュリン寺、別名:敏珠林寺)は、チベット自治区山南市扎囊県扎期郷敏竹林村に位置する、チベット仏教ニンマ派(紅教)の六大寺院の一つであり、前蔵(ウー地方)におけるニンマ派の三大名刹の一つとして知られています。創建は10世紀末に遡り、ニンマ派の高僧ルメ・ツルティム・シェラブによって建立されました。その後、1676年(清康熙16年)に五世ダライ・ラマの経師でもあった伏蔵大師デタ・リンポチェ(徳達林巴)によって大規模な重修・拡張が行われ、現在の壮大な姿が整えられました。敷地面積は約10万平方メートルに及び、その広大な境内は多角形の城壁に囲まれています。この寺院は単なる宗教施設ではなく、仏教経典の研鑽に加え、天文暦算、医学、薬学、書法修辞など多岐にわたる学問を教授する、チベットにおける伝統的な高等学府としても歴史的に重要な役割を果たしてきました。チベット全域で使用される『チベット暦年表』の編纂・発行は、長年にわたりこの寺院が担ってきたことでも有名です。また、境内で製造される蔵香(お香)も高い評価を受けています。その歴史的・文化的価値から、2006年には中華人民共和国国家級重点文物保護単位(第六批)に指定されています。
見所:
寺院の中心となる主殿「祖拉康」は、内部に20本の柱を立てた大経堂を擁する三層建築で、その屋根には輝く金の法輪と金の鹿の飾りが据えられています。
祖拉康の壁面には、ニンマ派の特徴である、多頭多臂で憤怒の相をした護法尊(守護神)の壁画が描かれており、チベット密教美術の代表的な作例として見応えがあります。
祖拉康の第三層にある「ラマ拉康」には、ニンマ派の歴代著名なラマ(高僧)たちの肖像が壁画として残されています。
境内には、歴代の座主(赤巴)の銀製の仏塔(ストゥーパ)や、貴重な手写経典『十万頌般若経』など、多くの文化的に貴重な宝物が収められています。
寺院の建築技術も見事で、石板を積み上げて築かれた「片石砌築」の壁は、チベット建築の優れた技術を今に伝えるものとして高く評価されています。
入場料:
入場料は20元です。(一部の情報源では25元との記載もあります)
営業時間
ハイシーズン(4月1日頃~10月31日頃):9:00~18:00
ローシーズン(11月1日頃~3月31日頃):9:00~18:00
※寺院の行事等により変動する可能性があります。
アクセス
住所:
チベット自治区山南市扎囊県扎期郷敏竹林村
公共交通機関:
ラサまたは山南市の中心地である沢当(ツェダン)から、扎囊県行きのバスや相乗りタクシーを利用します。
扎囊県城から敏竹林寺までは約15キロメートルです。県城から現地のオート三輪車(トゥクトゥク)をチャーターして向かう方法が一般的で、片道の費用は30元前後が目安です。
より便利なのは、沢当から直接タクシーやレンタカーをチャーターする方法です。寺院までの往復で80~100元程度が相場です。
旅のヒント
寺院は信仰の場です。仏殿内では静粛にし、許可なく写真やビデオの撮影を行わないようにしましょう。特にフラッシュの使用は厳禁です。
チベットの寺院では、時計回りに回るのが礼儀です。経堂や仏塔の周りを歩く時は、このことを心がけましょう。
寺院内では、僧侶や参拝者の方々のプライバシーを尊重し、むやみに写真を撮ったり、立ち入り禁止区域に入ったりしないようにしましょう。
山南地区は標高が高い地域です(約3500メートル~)。行動はゆっくりとし、水分を十分に補給して、高山病の予防に努めましょう。
寺院で販売されている蔵香は、伝統的な製法による品質の良いものとして知られています。お土産として購入するのも良いでしょう。
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