興善寺

概況：
大興善寺は、西安に現存する最も歴史ある仏教寺院の一つであり、その創建は西晋の泰始二年（266年）にまで遡ります。隋の文帝によって都が「大興城」に改められた際、寺院は現在の地に移され、城名の「大興」と坊名の「善」を取って「大興善寺」と名付けられ、国家の寺院として重要な役割を担うようになりました。唐代には、インドから来た善無畏、金剛智、不空という「開元三大士」と呼ばれる高僧たちがここで密教経典を翻訳し、布教活動を行ったことから、中国仏教密宗（唐密）の発祥地、すなわち「祖庭」として広く知られるようになりました。長安における三大訳経場の一つとして、日本をはじめとする東アジアへの仏教文化伝播の中心地となり、国際的な文化交流の拠点でもありました。現在も境内は静謐な雰囲気に包まれ、都会の喧騒を離れて歴史に思いを馳せるのに最適な場所です。

見所：
山門をくぐり、南北一直線に伸びる中軸線上には、天王殿、大雄宝殿、観音殿、法堂などの主要な堂宇が壮厳に並んでいます。
大雄宝殿の背後には、唐代に建てられた「転輪蔵経殿」の基壇遺構が残されており、往時の壮大な規模を偲ばせます。
観音殿には、明時代に檀香木で刻まれた千手千眼観音菩薩像が安置されており、その精巧な彫刻は見応えがあります。
日本国高野山真言宗空海大師同志会から贈られた地蔵菩薩青铜像など、国際交流の歴史を物語る貴重な文化財も所蔵されています。
境内には樹齢300年を超える古木や藤棚もあり、季節ごとに異なる風情を楽しむことができます。

入場料：無料兴善寺(xīng shàn sì)ハイシーズン：8:00〜17:00
ローシーズン：8:00〜17:00
※季節による変動はなく、通年同じ時間帯で開館しています。住所：
陕西省西安市雁塔区興善寺西街55号
公共交通機関：
西安地下鉄2号線「小寨」駅下車、A出口から北西方向へ徒歩約10分です。
バスをご利用の場合は、2路、26路、215路などに乗車し、「小寨」バス停または「長安立交」バス停で下車します。
寺院は宗教施設です。参拝や見学の際は、静粛に心がけ、他の参拝者の邪魔にならないようにご配慮ください。
殿内でのフラッシュ撮影は禁止されている場合があります。撮影の前には、表示や係員の指示に従いましょう。
礼儀として、短パンやミニスカートなど極端に肌を露出する服装は避けることが望ましいです。
境内は広く、石畳の道もあります。歩きやすい靴での来訪をお勧めします。
お賽銭や寄進は任意です。強要されることはありませんので、ご自身の気持ちに応じて対応されれば結構です。